くまの窓 ~柔道家・柔道整復師・大学教員のいなじのブログ

柔道家で、柔道整復師で、大学教員のいなじのブログです。

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パチンコ屋の前にて

今日、通勤途中、パチンコ屋の前を通った。
わたしはパチンコはやらないけど、平日のまっぴるまからジャラジャラ、
うらやましいなぁと思った。

ふと、22歳でほねつぎ業界に入って最初に勤めた接骨院で出会った
先輩のことを思い出した。

先輩は、Oさんというわたしよりひとつ年上の男性。
同じ柔道整復師養成学校の1学年上の学生だった。

柔道整復師の世界では、養成学校の学生のうちから接骨院や整形外科に勤めて
見習いをすることが多い。これを通称「研修」という。
昼は見習い、夜は学校…というスタイルが定番で、
厳しい勉強に厳しい上下関係、当然のことながら過酷な毎日である。

今もこのスタイルは健在だが、以前よりも、このツラ~イ「研修」に
身を投じる学生は減ったようである。

で、わたしの学生時代。

研修先で、最初に出会った先輩がOさん。
寡黙であまり笑わないひとだった。

最低限のことを教えてはくれるが、それ以上のことは何も教えてくれない。
別に意地悪をしているというわけではなく、教えるのが面倒…という感じ。
何でも自分でやっちゃうひとで、でも後輩としては指図された方がらくなわけで。
そんなわけでちょっととっつきにくい、つかみどころのない先輩だった。

そんなOさんの趣味はパチンコ。
休みの日だけでなく、たまに学校をサボって行っていたようだ。


研修がきつくてきつくて、来る日も来る日も涙をこらえていたある日。

資格持ちの先輩が、Oさんを強く叱責した。
いちばん下っ端のいちばんの仕事は何といっても掃除なわけだが、
その掃除、特にトイレ掃除が不十分だと。
つまり、わたしの不始末でOさんが怒られた。

その日の仕事が終わった後、わたしはOさんに謝った。


さっきはわたしのせいで、すみませんでした


Oさんは、いつもの無表情のままこう言った。


別に、言わせとけばいいし。


そして、思い出したようにこう付け加えた。


いいパチンコ屋って、トイレがキレイなんだよね



Oさんはそう言って、わたしを責めるでもなく励ますでもなく帰っていった。



…。



無口な先輩の、強烈な薫陶。



Oさんのこのひと言は、今も強烈に覚えている。


その後わたしは身体を壊し、血尿が止まらず、結局3ヵ月で研修をやめざるを得なくなった。
わたしが辞めると、Oさんはまたいちばんの下っ端に戻ってしまう。
わたしは辞めるときもOさんに謝った。

Oさんは、やはり無表情でこう言った。



うん、気にしないでいいよ



そして、やはり思い出したようにこう付け加えた。



学校は辞めないんでしょ?
早くからだ治しなよ




少ない言葉で、大切なことを伝えられるひとがいる。

反対に、わたしは教員となり、あろうことかブログまで始めちゃって、
しゃべり倒しの毎日である。

でも、1の言葉が100の言葉に勝ることがある。

Oさんと一緒に過ごしたのはたった3ヵ月だったけど、
下積み仕事の大切さと、短い言葉の鋭さを教えてもらった。


パチンコ屋の前でふと思い出した、13年前の出会いである。
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